マハンガ修道院で黄金のバジュラを受け取ってその場を立ち去ったと思ったらこんな場所にいたんだ。
「ありのまま(ry」よりは「わけがわからないよ」のほうがしっくりくる気がします。あーびっくりした。
見事なまでに閉じ込められています。ひっでえ罠。
ですが大体の予想はつきます。ここはおそらく、あの場所でしょうね。
だとしたら……
やっぱり。ここ、リタ・サテイヤですね。
あの長いダンジョンを歩いて戻る苦労をせずに済んだのはありがたいですが、いきなりこれはビックリします。ワンクッションほしかった。
そしてなんだか見覚えのある人がいらっしゃるのですが、困ったな。「ぎゅうどんべんとう」の予備はありませんよ。
あら、大丈夫だった。
そうなの?
あー、それで、よーく考えよー、って言われたんですね。なるほど。
そもそも、ここに来たのがいきなりすぎて、先に進む準備がまったく整っていません。
考える時間をくれるのなら、その時間で準備はしておきたいところ。
あら、優しい。
そういうことなら遠慮なく、お言葉に甘えます。
ドアをくぐったら……
ど、どこ、ここ。
あー……あなたあれですか。王様。
王様の部屋と祭壇はドアtoドア。本当だったんですね。
それにしてもお名前長いですねー……略してジュゲムでいいんじゃないですかね。ぽんぽこぴーとか。
知らんがな。すぐそこのハーレムでも行ってこいやこの贅沢ものが。
王様の部屋と祭壇のつながりは把握しました。
けど、この部屋はどことどういうつながりで……
なるほど、ここがお部屋だったんですね。了解しました。
さて、時間ができたとは言え、やることは、HP回復と数字の確認、回復アイテムの補充、といったところです。
加えて言うなら、これまでお世話になった人とのお別れを惜しむ、というのもあります。
なので、このタイミングで少し行脚しました。
スクリーンショットの掲載は控えます。数がね。大惨事になってしまうので。
リタ・サテイヤの封印が解かれたよー何が起こるの怖いよー、とおびえる人がいる中、それぞれの生活を大事に送っている人も大勢いて、まぁ世の中なんてそんなものよねー、と実感できました。
だからなんで妙なところで……いやもう言うまい……。
心は決まりました。先に進むしかないのなら、進むだけです。
と、いうわけで。
実は正直、目的がいまひとつわかりきっていないのですが、行ってきます。
ええと、聖なる竜さんに会えばいいんでしたっけか。ではそれで。
ここが竜の……い、いや、待って、何か違う気がする。
普通にダンジョンじゃないのかこれはっ!
竜さんの聖域につながる道、みたいなものでしょうか。
しかしこれはまた……ややっこしそうな造りのような気がしますよ。
嘆いても仕方がないので、まずは適当に歩き回ってみることにしました。
そうしましたら。
落ちるし、
入って出て出てきたところに入ったら違うところに出るし、
とにかく落ちるし。
敵が出てこないのが本当にありがたかったです……。
これで戦闘があったら、私はガチで泣き出す自信があります。
なかばヤケを起こしつつ、適当にガンガン進んだり落ちたりしていましたら、
いつの間にやら、ずいぶんと高いところに来ていました。
そして……
ものすごく馴染みある風景と音楽が。
ええ、思わず一杯つるっといきたくなる、あの音が。
あまりに不意打ちすぎてしばらく固まったのは内緒です。
意を決して、外に出てみると……
やっぱり、はらたまだー!
って、え、あれ、アムリタお姉さんがい、あ、え、なんで!?
またも固まること、しばし。いやだって、だって! ねえ!!
……一通りパニクって落ち着いたところで。
と、とりあえず、お話を伺いましょうか。
え、えっ?
しょ、正直、もう少しパニクりたいところなのですが、悠長なことを言っていられる場合ではないようです。
竜使いの竜が殺されたって……それは……。
誘拐されただけで軽くガチギレできる身としては聞き捨てなりません。お姉さん大丈夫ですか……。
心配しても何もできそうにないので、もう一人の人に声をかけてみます。
え、お泊……えええ!?
と言ってる間に暗転、宿屋に泊まった時のピーヒョロ音の後……
あああああ、これ間違いなくセーブされたー!
なんという初見殺し……。確か、もう戻れないってふれこみでしたよね。うっわぁ。
ええと。
騒いでばかりいないで、ちゃんと考えましょうか。
アムリタお姉さん曰く、お姉さんの愛竜が殺されてしまった。
殺したのが何なのかは明言していないけど、騙されていたと言うからには、これまでに得られた情報の中に嘘がある。
行けばわかるってそれはお前の竜も殺されやがれって言っ
……うん、そこまで穿った見方はしないでおきましょう。場合によっては失礼だ。
…………ひょっとしなくても、来ないほうが良かったんじゃね?
という言葉を全力で投げ捨てて。
ちょっと外に出てみましょうか。また何かあるかもしれないけど。
おぅ。見慣れない景色だ。
え、ちょ、何なの突然そのはじまり方。
つーか二行目! さっきから衝撃すぎる事実が全力疾走しまくってるんですが!?
……。
ええとですね。
みんとちゃん誘拐事件のあたりから、私の、この爺さんに対する感情は、大変、冷めてきておりまして。
あの時にアケルナルで出会ったのが偽物だったとしても、それまでのあれこれがね。
大体、そもそもが押しかけ師匠なので、尊敬の念も何もあったものではありません。
今の言葉で、この人に対する感情は、完全に冷め切りました。
ラスボスがこいつならいいのにな。
もうここでゲームオーバーと言われても構いません。これの頼みを聞いてやる道理は、無い!
ああああああああああもおおおおおお一発ぶん殴らせろてめえええええええええええええええええええ!!
正直、もとの世界にはもう戻らない覚悟ができていますし、カオスドラゴンとやらがあっちの世界を望んでいるのなら、好きにすればいいと思います。少なくともプレイヤーはそんな気持ちでいっぱいです。
……なんですけどね。
もとの世界には、旅立ちからここまで、ずっと味方でいてくれている、ばあちゃんがいるんですよね。
他の誰がどうなっても、ばあちゃんが泣いたりどうにかなってしまったりするのは、嫌ですね。プレイヤーとしても。
…………行きましょう。ええ。