まずは竜を孵化させないことには何も始まりません。
戦闘を重ねていれば孵るっぽいので、頑張ってみます。
が、こちらは一人、相手は大体、多数。
回復手段に乏しい現状では、1ダメージすら大きな痛手です。
なので、まずは懐にやさしい回復手段を得つつ戦闘をこなしていける環境を求めて、自分の出身村に帰ります。オリッサ村というらしいです。
そんな意気込みで、遠路はるばるやってきた都を後にしたわけですが。
思わぬ事態になりました。
てくてく歩きつつ、残りHPと相談しながら戦ったり逃げたりを繰り返しておりました。
ある、普通の雑魚戦が終わった後。
突如、音楽がかわいらしいものに切り替わり、かわいらしい一枚絵が現れました。
おお、おおお?
わああああ! 生まれたああああ!
やばい、かわいい、めっちゃかわいい。どうしようかわいい。
などと、ごくごく軽く興奮し……名前?
名前……名前ですか……。そういや何も考えてなかった。
自慢ではないですが、私は何かに名前をつけるのが大変苦手です。キャラクターメイクができるゲームで一番時間を食うのが名前です。
かわいい自分の竜ですし、後悔しない名前にしたいところ。
あまり凝りすぎず、飽きもこない感じの……
色が緑だから緑系の何か……
唸ること数分。
みんとちゃんにしました。
何となく、ポンと湧いてきたので、素直に入力してみた次第です。
やっぱり自分で名前をつけられるのはいいですね。愛着が半端ない。
ここまでは問題ありません。むしろ至福の時でした。
ここから現実に引き戻されます。
実は、孵化した場所が大変絶妙なところでして。
都と村のほぼ半分、どちらかと言えば都のほうが近いかな、という場所で孵化してしまいました。
回復手段はありません。
都に戻ってこの子を預けて村に行くのが良さそうですが、移動距離を考えると、体力が心配です。「にげる」は絶対成功ではありませんからねー。
どうしようかと悩むことしばし。
確実に命の保証がとれるほうを選びました。
というわけで、この後、村まで必死に歩いてなんとか生きてたどり着き、ばあちゃんからおべんとうを貰えるだけ貰って都に進軍しました。
気合って大事ですね。
そしてふたたび都に到着。まっすぐに託児所へ向かいます。
カウンター前にいた人に、なんとなく話しかけてみると、こんなことを仰いました。
いい笑顔で切ない現実を……。
やはり、世の中ゼニですね。ゼニなんですね。
世知辛さを胸に、うちのチビちゃんを預けます。
この世界は幼竜を育てるプロフェッショナルがいるんだなぁ……と、改めて思ってみます。
それにしてもやはりゼニですか。下手に使わなくてよかった。
ローン!? そういやなんかそういうのがあったな!
やだよ、手持ちで払えるよ!
というわけで、いいえです。
いつもにこにこ現金払いですよ。借金なんてっ。
なんだろう、このほんのりとした不安は。
ともかく、これで私のみんとちゃんは、育児(育竜?)のプロの手にゆだねられました。
無事に育ってくれますように。
って、それで終わり? あとは見守るだけでしょうか。
ああ、やっぱ何かあるのね。
では、ずずいと奥に入らせていただきます。
ああっ! 奥にちっちゃいのがいる!
やべぇぇ……かわえぇぇぇ……!
はやる気持ちを抑えつつ、手前の関取、じゃない、保母さんとお話しします。
エサは自分で確保せにゃいかんのですね。わかりました。むしろ是非やらせろ。
って、なに? りゅうジステンバー?
なんだそのわかりやすく怖い感染病名は。
する? もなにも、ジステンバーならしない選択がないでしょう何言ってんですか!
ゼニか……っ!
ぐぐぐ。払いますよ。名前がもう危なさ全開ですしね。
本当だな? 詐欺ってたら承知しないからな。
で、みじんこですか。それなら、ここまでの過程で嫌というほど狩ったのですが……
んん? そうなの?
そういや、メニューに「えもの」がありますね。
おお。ストックされている。
これを選択すれば渡せるのかな?
と、思いましたが、そんなことはありませんでした。あれ?
んーと……保母さん経由がだめなら、当人に直接、でしょうか。
おふぁぁぁぁあああ……!
やばい。誘拐したい。ともに暮らそう。
いや待てその子はうちの子だ。早まるな。
ええとなんでしたっけ。そうだ、みじんこでした。
「はなす」で特に何かが起こったようには見受けられませんでしたし、ここで「えもの」でしょうか。
おおお……喜んでくれたっぽい……!
よっしゃーこれでこの子はもう旅立て
ませんよね。まだ早いですよね。落ち着け私。どうどう。
しかし、おおたまじゃくし、ですか。
ここまでの間で結構戦っていますが、そんなの一度も見たことがありません。
水辺も結構歩いてましたが、出てくるのはみじんことテングダケばっかりです。
しかし、名前から察するに、水関係っぽいですよね。んんんんん。
何にせよ狩りが必要なのであれば、回復拠点は必須なので、一度村に帰りました。
しばらく悩みながらさまよってみましたが、答えは見つかりません。
むしろ、その時に突入した森や山で死にかける始末です。
逃亡は竜に悪影響らしいので、リセットでなかったことにしたりもしつつ。
ここはもう降参して、ネットに頼りました。
そして、分かった事実。
こちらの『「サンサーラ・ナーガ」モンスター出現地域』を参考にさせていただいたのですが……
どうやらこのゲーム、場所によって出現する敵が明確に決まっているようです。
そして水の中にも入れるようです。な、なんだってー!?
そうとわかれば話は早いです。さっそく水の中にダイブ!
入れたー! マジか!
よーし、あとはおおたまじゃくしさんを狩るだけです!
違う、きみじゃない。
ちーがーうー、全然ちっがーう!
なんて騒いでおりましたら。
出会ってしまいました! よっしゃ狩るz
逃げるの!? っていや、逃げないでお願い!
などなど。
一喜一憂しつつ、水中の敵を狩るのでした。
すべては可愛い我が子のためです。えーんやこーらー!